目が覚めると見知らぬ天井だった。
それに知らない香りがする。

ちらりと視線を動かすと全く見覚えのない部屋で、一気に覚醒した。


「え……」


ここどこだろう……
そういえば私、体調悪かったんだっけ……

七瀬ちゃんと通話したことは覚えているけれど、そのあとは記憶にない。
ということは倒れてしまったんだろうか。

正直びっくりだ。
倒れたことなんてないし、まさかそこまで体調が悪いとは思わなかった。

今何時だろう。
学校はとっくに始まってしまってるかなと思いながら携帯を探す。

すると近くの机に見覚えのあるコースターがあるのが見えた。


あれって私が作って、桐谷くんにプレゼントした――


すると突然ガチャリと扉が開く。
部屋に入ってきたのはお茶やゼリーなどを腕に抱えた桐谷くんだった。


「あ、目覚めたのか」
「えっ、桐谷くん!? どうして……」


慌てる私を気にも留めず、彼は近くの椅子に座る。
そしてコップに注いだお茶を渡してくれた。


「朝登校してたら、前にいた早坂が急に倒れるから焦ったわ。体調は?」

「え? えっと、さっきよりはまし、かな?」


ありがとうと伝えると「ん」とだけ返ってくる。

それじゃあここは桐谷くんの部屋で、桐谷くんのベッドっていうこと……?

まさか倒れた私をわざわざここまで運んでくれたんだろうか。