その日の放課後。
グループに一通メッセージが届いた。


「ひまわり、ただの寝不足だって」
「も~! 寝不足で倒れるなんて寝てなさすぎだよ~!」
「はあ……ま、とにかく大丈夫だって。よかった」


七瀬ちゃんと瑠々ちゃんの会話を聞きながら自分の携帯でメッセージを確認する。
そこには確かに、ただの寝不足だった、大丈夫、という内容が書かれている。

思わずはあっと息を吐く。
ひまわりちゃんが無事ならよかった。

連絡がくるまで悪い方向にばかり物事を考えてしまっていたからか、やっと頭を休められる気がする。


「結衣、顔色悪いよ」
「ほんとだ! 大丈夫? ゆいぴーも倒れちゃう?」


心配そうな顔をしているふたりと目が合って焦る。


「あ、違うの。その……ひまわりちゃんが倒れたとき、私だけ何もできなかったから」


嘘も誤魔化しもせず、本音を伝えた。
今までだったらきっと本当のことなんて言えなかったと思う。
だけどもうふたりには弱音だって吐いてしまう。


「何言ってんの。あたしらだって特別何かできたわけじゃないよ」
「そ~そ~! 結局はお医者さんが最強!」


だから気に病む必要なんかないよ、とふたりは微笑む。

……本当に、優しい人たちだ。
彼女たちは弱いところももちろんあるけれどやっぱり強くて、かっこいい。
だけど私は、ちょっと成長できたと思ってもまだまだ弱虫で、友だちがピンチのときすら動けない。

本当に、何をやっているんだろう。
……ダメだ、ふたりに気を遣わせちゃってるのに、気分は全く上がりそうにない。


「ごめんね、ありがとう」
きっと上手く笑えていないだろうなと思ったけれど、その答えはふたりの表情を見れば悲しいほどわかった。