「ねえ~、テスト何点だったあ?」


テストが返されるといつも決まってこの話題だ。
自分の方が点数が高かったら気を遣うし、低かったらイライラしてしまうから、答えるのには全く乗り気ではない。


「わたし53点だった!」
「74」
「え~、なーちゃんいいなあ。瑠々、赤点ぎりぎりだったよ~」


瑠々ちゃんは自分の点数が低くても周りの子に何点だったのかをよく聞く。
自信があるのならまだわかるけれど、いったいどうしてわざわざ自分を傷つけるようなことをするのかわからない。


「ゆいぴーはどうだった?」
「あ、私は……98点だった」
「えっ、すごいじゃんゆいぴー! 優等生はいいなあ~」


褒めてくれているはずのその言葉にモヤっとする。
前までの私なら絶対に笑って誤魔化していた。
だけど今の私は前と少し違う。


「私、昨日頑張って勉強したの。だから今の言い方だと、いい点数がとれるのは優等生だからって言われてるみたいでちょっと悲しいな」


声のトーンはほとんど変えないように努力して、あくまで少し悲しんでいるふりをする。
本当の私は短気だからこれくらいのことでも割とイライラしてしまう。

だけどここ最近は新たなことに気づいた。