「表の私だったら結構モテるんだよ? 優しくて明るくて好きだ、って……」
自虐的に笑って、ふと昔のことを思い出した。
『優しくて明るくて好き』だと、元カレも言ってくれたなと。
彼の名前は工藤慎太郎。
今日クラスメイトにも言われた、去年付き合っていた人だ。
彼はあの学校の生徒の中では真面目で、そして爽やかな人だった。
よく話すようになって、何度か一緒に遊びに行って、告白されて付き合った。
特別なことは何もない、普通の恋愛だった。
だけど付き合って3か月が過ぎると、彼はある言葉をよく言うようになった。
『僕にはなにも隠さず全部話してね』
だけど私はそれができなかった。
彼のことは好きだったけれど、大切なことはなにも話せない自分が嫌になって悩んで。
私が殻を破るのが先か、彼にすべてがバレてしまうのが先か――
そんな不安定な縁で結ばれていたからか、綻んだと気づいたときにはもう切れてしまった。
『僕は結衣の彼氏なんだからなんでも言ってほしい』
『わかったから、何回も何回も同じこと言わないで』
『なんだよその言い方。そんなことで怒るなんて結衣らしくない』
『わ、私らしくないってなに? 私だって怒ることくらいあるよ!』
結局最後は喧嘩別れだった。
何度も言われる言葉がプレッシャーになって、怒りになって、爆発してしまった。
あのときの自分が彼に何を言ってしまったのか、正直あまり覚えていない。
だけど彼に言われた言葉はずっと胸に残っている。
『嘘つき』
『最低』
『クズ』
優しくて真面目な彼にこんなことを言わせてしまうくらいに私は最悪だったんだろう。
言われた言葉は忘れられないのに、彼に言った言葉は忘れてしまうなんて、本当に都合のいい頭をしている。
自虐的に笑って、ふと昔のことを思い出した。
『優しくて明るくて好き』だと、元カレも言ってくれたなと。
彼の名前は工藤慎太郎。
今日クラスメイトにも言われた、去年付き合っていた人だ。
彼はあの学校の生徒の中では真面目で、そして爽やかな人だった。
よく話すようになって、何度か一緒に遊びに行って、告白されて付き合った。
特別なことは何もない、普通の恋愛だった。
だけど付き合って3か月が過ぎると、彼はある言葉をよく言うようになった。
『僕にはなにも隠さず全部話してね』
だけど私はそれができなかった。
彼のことは好きだったけれど、大切なことはなにも話せない自分が嫌になって悩んで。
私が殻を破るのが先か、彼にすべてがバレてしまうのが先か――
そんな不安定な縁で結ばれていたからか、綻んだと気づいたときにはもう切れてしまった。
『僕は結衣の彼氏なんだからなんでも言ってほしい』
『わかったから、何回も何回も同じこと言わないで』
『なんだよその言い方。そんなことで怒るなんて結衣らしくない』
『わ、私らしくないってなに? 私だって怒ることくらいあるよ!』
結局最後は喧嘩別れだった。
何度も言われる言葉がプレッシャーになって、怒りになって、爆発してしまった。
あのときの自分が彼に何を言ってしまったのか、正直あまり覚えていない。
だけど彼に言われた言葉はずっと胸に残っている。
『嘘つき』
『最低』
『クズ』
優しくて真面目な彼にこんなことを言わせてしまうくらいに私は最悪だったんだろう。
言われた言葉は忘れられないのに、彼に言った言葉は忘れてしまうなんて、本当に都合のいい頭をしている。