「すみません!」

「いいよいいよ、よくあることだから気にしないでね。ほらもう上がりな」


そう優しく微笑まれても私の中に生まれた罪悪感はちっともなくならない。
今日のバイトはミスが続いてしまって最悪だった。

ため息を我慢して制服に着替え、荷物を整理する。
すると一緒の時間に仕事を終えた先輩が話しかけてきた。


「お疲れ」
「お疲れ様です」
「ちょっと話したいんだけど、時間ある?」
「え? はい」


いったいなんだろうと思いながら頷く。
まさか今日ミスしたことについてだろうか。
変に緊張していると、相手もそのまま黙ってしまった。


「あの……」
「あー、ごめん。ちょっと待って」
「は、はい」


言いにくいことなのかな。
時間はまだあるし、急かすのも悪いだろうと静かに待つ。
よくわからない緊張感が部屋を満たしたとき。


「……あのさ、早坂さんのこと好きなんだよね」
「……えっ?」
「俺と付き合ってくれない?」


先輩の表情は真剣だった。
まさか告白されるなんて。
予想外のことが起きて頭の中がパニックになる。


「う、嬉しいんですけど、私なんか――」

「なんかじゃないよ。早坂さんの誰にでも優しくて明るいところとか、いつも笑顔のところとかすごいなって思ってる。そういうところが好きなんだ」


熱く語ってくれる彼に反比例して、私の熱は下がっていく。
……ああ、そうか。
そうだった。