「はーっ、楽しかったね桐谷くん!」

「まあ、楽しかったけど……」

「桐谷くんはどこが一番怖かった? 私はやっぱり最初と最後が怖かったなあ」

「あー、そうだな」

「演出とかもすごかったね! 音鳴らしてるのはセンサーでかな? あ、そういえば途中にあったあの水って本物なのかな?」


気分が高揚して興奮気味に感情のまま話す。
ふと気になって隣の彼を見上げると、優しい表情で見られていてドキッとした。


「え、ど、どうかした?」
「いや、杞憂だったなって」


杞憂……?
なにかあったのかと思考するが全くわからない。
するとそんな私を見て桐谷くんはおかしそうに笑った。


「次はなにしたい?」

「えっ、えーっと、桐谷くんがいいならもう一個のお化け屋敷に行きたいなあって」

「マジかよ、連続でお化け屋敷巡んの?」

「それなら全然ほかのやつでも――」

「いいよ、ほら行こうぜ」


そう言って手を優しく引っ張られて、ずっと繋いだままだったことにやっと気づいた。