今更告白したところで、私の“好き”は、
きっと届かない。

本気の恋なんて、遊びの彼には重すぎる
はずだ。

…だから、しーくんに嫌われないために、
振り向いてもらうために、役に立ちたかった。

大切な、しーくんの為なら、何だって
できるって、証明したかった。

…たとえ、それがどれだけ辛くても。

ー…心だけは、あなたのものだから。




ー「わっ、愛!

  手ぇ真っ赤じゃん!」

しーくんと出会って、初めての冬。

小学二年生のとき、時間も忘れて外で
雪遊びをしていた私の手は赤くなり、
冷え切って、凍えていた。

すると、通りかかったご近所さんのしーくんが、私の手を自分の手で包み込むと、
ハーッと息を吐きかける。

手袋もなく、素手で。

寒いのに、冷たいのに、厭わずそうして
くれたことが嬉しくって。

ー『しーくん』

ー「これで、温かいでしょ?」

ニコッと陽気に笑うしーくんの、
染み込むような優しさが、
何よりも温かかった。

その後も、持ってたカイロの一つを
私に譲ってくれた。