ー「俺、葵の好きな子奪いたいんだ。
  協力してくれる?」

最低な提案。

私に別の人好きになれと言っといて、
自分は堂々と他の女に手を出すって?

そんなの、嫌に決まってる。

馬鹿なんじゃないの、アホだよ。

普通の女だったら、ここで百年の恋も冷めると思うよ。
 
平手打ちからの往復ビンタされても、
文句言えないからね?

しーくんは、高校生になって、女の子と
遊ぶことが増えた。  

私は、側でただ悲しく見守っていた。

本当に、刺してやろうかと何度思ったか。

いつか、私の愛が彼を殺してしまいそう。

それなのに、さ。

ズルいよ、そんなお願い。

私の気も知らないで。
  
…でも、しーくんにとって、私はただの
幼なじみだもんね。

側にいるのが当たり前で。

…それだけ。

私は、しーくんの彼女にも、妹にも、
なれやしない。

所謂、幼なじみのジレンマってやつ。