昔、私と時雨と葵が遊んでた思い出の
場所。

久しぶりに来たけど、あまり変わってなかった。

…懐かしいなぁ。

二人で隣り合って、ブランコをこぎながら
語り合う。

…なーんて、私のほうが喋っちゃうん
だけど。

『葵がさ、中学生の時。

 女の子バッサリ振ってるの見て、
 酷いなって思うことがあった』

ギーコギーコこぎながら、昔を思い出す。

葵は、前を向いて話を聞いていた。

『…でも、私、やっと分かったよ。

 葵は…優しいから、期待させて、
 傷つけないようにしてたんだね』

それは、私に対しても。

当時、中学生だった私は振られて泣いている女の子に同情していたけど。

ー…その時、理解できなかったことが、
今なら、分かる気がした。

無言の葵に、私は笑う。

『振られるのも覚悟で粘ったけど、
 …完敗だよ』

完璧なまでに、私の負け。

葵は、私の方を向いて、真剣な顔で
聞いてくる。