「…まぁ、そうなんだけど」

バツが悪そうに呟く葵に、私は悪役らしく
クスクス笑ってみせた。

『ふふっ、照れてるの?

 ゾッコンじゃん…そうだよね、うん』

二人の仲を裂く役目が私。

言葉通り邪魔して、仲を悪くさせた。

…でも、もうそろそろ、止めなきゃ。

いくら、しーくんが大切でも、間違いだと
気付いた。

『…ごめん、わがままで振り回して』

今度は、私が頭を下げた。

あれから、ずっと罪悪感が胸に残って、
消えてくれなかった。

…私は、本当に最低だ。

彩羽ちゃんの、葵への恋心を、
私が砕いたのかと思うと。

叶わない恋が、どれだけ苦しいか、辛いか
私が誰よりも知ってるはずだったのに。

「…愛」

葵は、そっと私の頭を撫でてくる。

その手は、昔と変わらず優しかった。

…うん、葵は私のお兄ちゃんって感じ。

ゆっくりと元に戻ると、私と葵は
場所を移動して、翡翠高校の近くにある
公園に入った。