気づけば、イケメンのドアップが目と鼻の先にあった。

…コイツ、やっぱり危険だ!

人もいなくて、閉じられてしまった
絶望的空間の完成。

『…な、にを…』

息が止まりかける。

身をよじるが、一般市民レベルの出力じゃ
ビクともしない。

「俺ならあますことなく愛してあげられ
 るよ」

愛の囁きが、悪魔の囁きにしか聞こえない。

何の話をしているの?

この状況で、無理矢理ラブ展開にもっていけると思ってんのか!?

軽くホラーだからな!

甘く、優しく、耳元で囁かれ、
ゾワゾワしかしない。

“王蝶”の姿じゃないけど、自己防衛なら
許されるかな?

これは、間違いなくセクハラでストーカー行為だよね!

おまわりさぁん!へーるぷ!

『やめて…』

これが、最終通告だ。

「…そう言われたら、ますます燃える」

おーい!?

近付いてくる来宮さんの顔。

ー…だめだ、コイツ本物の変態だ!