「え、嘘、冗談だよ」

奴は言ったことを平気で取り消す。

軽すぎませんか?紙か!ペラペラだな!

私は、110番を押しかけて、やめた。

馬鹿馬鹿しい…、早く帰りたい。

『私、帰ってもいいですか?』

そして、全てを忘れたい。

「ダメ、まだ俺と一緒に居ようよ」

帰ろうとしたら、阻止された。

はぁ?

『嫌です』

繰り返されるやり取りに、鬱陶しいなと
イライラし始めたその時。

「葵っ!」

「…愛?」

…氷室さんの声が聞こえて、そっちに
気が取られる。

そうだ、ここ、青火の近くだっけ。

思い出して、声の方を向いた。

そして、目に入った光景に酷く驚いた。

氷室さんに、一人の…多分他校の女の子が
飛びついたのだ。

フワフワの綺麗にカールされた茶髪に、
クリクリとした大きな目。

一目で見て、かわいい。

きっと、もっと、近くで見たら、
絶世の美少女に違いない。