いつの間にか目前に迫っていた彼は、
私の頬にチュッと口づけをしてきた。

油断も隙もありゃしない!

『なっ!?』

「あはは、照れてやんの」

軽く笑いながら、続けた。

「次は唇にするから、油断しないように」

ごちそうさま、とペロリと舌を出す。

コイツは悪魔なんだろうか!?

普通付き合ってもない女にキスしないでしょ!? 

バッとキスされた頬を押さえて、
5メートル距離を置く。

悔しいことに、免疫0の私は赤面状態。

う…っ、不意打ちはズルい!

セクハラ!チャラ男!いつか八つ裂きに
されちゃえ!

りんごだ、とケラケラ笑う彼を睨む。

本性出しやがったな!

「男は狼だからね。

 君みたいな隙だらけな羊ちゃんは
 すぐに食べられちゃうよ?

 特に、俺みたいな男にね…」

何か言ってる奴を無視して、スマホを
取り出した。

『警察呼びましょうか…?』

それくらいの権利はあるよね?

それに、半径3メートル以内は通報…。