この失礼なチャラ男め!

『簡単に、落とせるなんて思うなよ。

 女舐めんな』

…あ、やっちゃった。

“王蝶”が取り憑いた?みたいに啖呵を切ってしまった。

振り払われた手は、所在なく宙に浮いた。

来宮さんはというと、怒った様子はなく、
本当にびっくりしていた。

そりゃ、当たり前だわ。

いきなり地味子が反撃してきたら、
そうなるでしょうよ。

「…君、案外強情なんだね?

 ごめんごめん、馴れ馴れしかったか」

ニコリと、今度は悪魔めいた笑みを
浮かべだした。

おおっと、化けの皮が剥がれたか?

ゾッとするほど奇麗で、余計に気味が悪かった。

真面目に何目的なんだ…?

「…うまく絆せないかなぁって思ってたん
 だけど。

 そう定石通りにはいかないか」

笑顔でドス黒いことを言うな。

世の中には知らない方が良いことが
沢山あるね。

「俺、葵のことが大嫌いなんだ。

 だから…、葵のお気に入りの君を、
 奪わせてもらうね?」