抱きしめていた腕を離して、顔を覆った
桃李さんにあわてて声をかける。

な、泣かせてしまった!

『あ、あの…?』

私なんか良くないこと言ったっけ!?

いきなり号泣する桃李さんに、私は
すかさず制服のポケットからハンカチを
取り出し桃李さんに手渡す。

オロオロして眉を下げる私は心配で
たまらなくって。

そんな私と桃李さんに、氷室さんは
優しい眼差しを向けて穏やかに笑って
いた。

「良かったね、桃李」

しまいには、なぜか桃李さんにそんなことを言う。

「ゔん…っ!」

そして、大泣き状態で頷く桃李さん。

傍から見たら私、虐めてるみたいでは??

何が良かったの?!

泣きながら笑ってるらしい桃李さんは、
やがて涙を拭くと顔を上げる。