私が、“王蝶”の姿になって、強くありたい
ように、桃李さんにとって、その声が
救いで大切なんだろうな。

そう思ったら、不思議と親近感がわいた。

私が返せる言葉って、そんなに多くは
ないけど、できる限りのことを伝えよう
と思った。

桃李さんは、勇気をもって打ち明けてくれたのだから。

『あなたにとって、その声は必要で、
 大事なものなんですよね?

 それに、せっかくもらえた神様からの
 贈り物ですし。

 …私は、大切にしていいと思います』

たとえ、誰かの毒にかかっても。

自分が自分のこと、一番に大切にできたら
それでいい。

静かにそう呟くと、桃李さんは、
目からボロボロ涙を流していて。

「〜っ、ありがどぉ〜!」

『えっ。 
 大丈夫ですか!?』