ー蒼sideー
俺の全てはーー。
「あおちゃん!」
ーー千結だけだ……。
俺は物心ついた時から千結のことが好きだった。
俺の両親の千結の両親は仲良しだった。
同じマンションに住んでいたからというのもある。
だけど一番の理由は…。
『あら蒼くん、こんにちは。蒼くんと同い年の娘がいるの!仲良くしてあげてね!』
千結の母親の纏う空気が俺の母親の心にヒットしたんだろう。
おおらかで心が癒される感じのする人だったのを覚えている。
俺と千結が生まれた時から大の仲良しでよくお互いの家を行き来していた。
父親同士も気がついたら仲良しになっていた。
千結はいつも笑っていて、母親と同じような感じだった。
いつもいつも一緒だった。
幼稚園も小学校も中学校も…高校も。
どんな時でも一緒。
千結のことなら何でも知っている。
誰にも負けない。
そして…千結を好きな気持ちも…。
だけどそんなある日だった。
千結が知らない男と会っているのを知ったのはーー。