夏色モノクローム
恋愛(ピュア)
完
6
- 作品番号
- 1676545
- 最終更新
- 2022/08/27
- 総文字数
- 31,825
- ページ数
- 52ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 17,149
- いいね数
- 6
好きなひとがいる。
毎週火曜日と、金曜日の朝。
運がよければ月曜日もたまに会える。
通っている大学にほど近い三叉路で
いつもすれ違いざまに
ひとことふたこと話すだけ。
あのひとはすぐに立ち去ってしまうけれど
それで十分。
十分だと、思っていた――。
••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••
佐代木 里央(さよき りお)
21歳 大学3年生
毎朝、同じ三叉路の写真を撮るのを日課にしている
自称にわかカメラ女子
×
杠葉 志弦(ゆずりは しづる)
36歳 無職(?)
毎週火・金、いつもキッカリ同じ時間に
三叉路にゴミ捨てにやってくる謎のひと
ゆるっとした部屋着で気怠そうだが
諸処に几帳面さとこだわりがにじみ出ている
••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••
この作品のレビュー
この作品の感想ノート
久先生の描かれる、光から目を背けているように見えてつよくつよく欲しているオッサンヒーローさまと、彼しか見えないまっすぐで健気で眩しすぎるヒロインさまからしか摂取できない栄養がこれでもかと詰め込まれた作品でした!
素地は整っているのにわざと整えない美学。
棲まう家と同じで外見の雰囲気と中身が、朝の貌と家での貌が全く違うミステリアスな大人の男性。
ただ簡単に単純に『ギャップ萌え』と雑に括ってしまえない、しまいたくない魅力の塊の志弦さま。
そして、そんな志弦さまをいつでもとてもよく見ていて、彼の言動だけでなくその理由にまで注目していて、彼を好きになる、ますます好きになっていく過程に説得力のある里央さま。
いつものようにまた今回も、ヒロインと一緒にヒーローを、ヒロインごと大好きになってしまう作品でした。
「一見冷めているようで、すごく、大事なものを持ってる」共通点のあるおふたりも最高のニコイチカップルでした。
志弦さまがこだわりを持つモノクロームの世界に、目の前にいるのが本人だと知らずに熱烈なラブコールを送る里央さまはとくに可愛らしかったです。
「顔見知り」の里央さまおひとりを意識して変わる志弦さまの朝が愛おしかったです。
穏やかにゆるやかに積み重ねた日々からの急転直下。
素朴な、ささやかな幸せでも十分だと思っていた里央さまが、伝える前に突き放されてもそれでも諦めずに踏み込んで手を伸ばしてしっかり伝えようとする姿に共感し、応援しながら読み進めました。
月が厚い雲の向こうに身を隠すように外界から隔離された家の中の薄暗い部屋のキャンバスに隠されていた、これ以上なく鮮やかに描かれていた志弦さまの好意は、志弦さまから見た里央さまの姿はとびきり特別で鮮烈で本当に眩しかったです。
里央さまが伸ばし続けた手をやっと掴んでくれた、それすら掴んでいいのかとわざわざお伺いを立てる志弦さまも、そんな兄の背中を押しにわざわざやって来た葵さまもどちらも優しくてよく似ていて。
きょうだいを含めた両家族のこれからもとても気になってしまう作品でした。
志弦さまの理想そのままの里央さまと、甘く変わった志弦さまのうつつ。
頭上には綺麗な青空が広がる、おふたりの特別な三叉路を探しに行きたくなりました!
蕨駅の西口か東口かでどちらの市民か分かるな〜と思ってしまった元浦和市民(今は区民か)です。上中里駅は降りたことがありません。三叉路に行きたくなりました。気分は聖地巡礼…“げんのもなか”に笑った私も情緒不足気味な残念体質です。
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