お隣のヤクザに要注意Ⅰ

ずっと、誰にも言わずに生きてきた。

知らんぷりして偽って。

こうして叶恋が壊してくれるのが心地よくて。

トンッと叶恋の肩に頭を乗せた。

もしもタイムスリップできるなら、あの日をやり直したい。

俺、俺は……。

「親父に……会いてぇんだ……っ」

「うん」

今どこにいるかわからないけど。

生きてるのか、死んでるのかもわかんねーけど。

それでも、会いたい。

諦めきってたはずなのに。

俺が落ち着くまで、叶恋は黙って抱きしめてくれていた。

女の温もりは嫌だったのに叶恋は不思議だ。

こんなにも温かくて優しくて心地よくて……ずっと甘えてしまいたいと思ってしまった。