「子供の特権は
 使える時に使わないと
 後悔しちゃうのよ」


「特権?」


「言いたいことは
 親にぶつけられるうちに
 ぶつけておきなさいってこと。

 そうしないと狂夜も
 私みたいに陰でこそこそ泣く
 強がりで意地っ張りな
 女々しい大人になっちゃうよ。

 そんな情けないアイドルに
 狂夜はなりたくないでしょ?」



爽やかな笑顔で伸びをした

朝比奈さんは

「今の話し、純恋には内緒ね。
 あの子に嫌われたら
 私のメンタルが崩壊しちゃうから」と

歯の間から

ちょこっとだけ舌を出した。


俺は朝比奈さんのことを

情けない大人だと思ったことは

一度もない。



「俺は……

 すっごく尊敬してるけど……

 朝比奈さんのこと……」



だって、大好きな人のために

自分の人生を犠牲にしてきたでしょ?



俺の大好きな純恋を

今まで支え続けてくれたこと。

俺はものすごく感謝をしているんだ。



恥ずかしすぎて、これ以上は

言葉にできそうもないけどね。