「狂夜がお父さんを
 憎む気持ちはわかる。

 私が親のせいでゾンビになったら
 怒り爆発で荒れ狂うし。

 ギターを投げつけて
 家出しちゃうこと間違いなしね」


「アハハ、ギターを投げつけるって。
 朝比奈さんならやりそう」


「でもね、私にはもう
 怒りをぶつける両親なんて
 いないでしょ?

 だから親子喧嘩ができちゃう
 狂夜のことが、羨ましいの」


なんで朝比奈さんは

そんなに痛々しい笑顔を

浮かべているの?


普段の朝比奈さんなら

弱り切った顔を俺に見せないよう

精いっぱい強がるでしょ?



「俺はまだ
 父さんと会う決心なんて
 ついてないよ……」

 
「私ね、両親にぶつけたい怒りが
 たくさんあるの。

 なんで、死んじゃったの? 
 なんで私達を置き去りにしたの?

 私だって、もっとお母さんたちに
 甘えたかったんだよ。

 お父さんたちが生きていてくれたら
 辛い時に辛い、悲しい時に悲しいって
 弱音を吐けたのにって。

 純恋を不安にさせたくなくて
 精いっぱい強がって生きてきたけれど
 本当はメンタル弱すぎなのよね、私は」


「朝比奈さん……」