初めは涙をハンカチで拭いながら

俺の話を聞いていた

朝比奈さんだったけれど

今は落ち着いたみたい。


「ここは国の特別な施設だもの。
 有能な人達が、絶対に純恋を
 目覚めさせてくれるに違いないわ」


穏やかな笑みを取り戻し

俺を安心させるかのように

「大丈夫、大丈夫」と何度も唱えている。



「純恋は目覚めるよね?」


ゾンビ姿のまま

眠り続けるなんてことはないよね?


「当たり前でしょ?
 純恋は私のことが大好きなの。
 お姉ちゃんに会いた~いって叫んで
 すぐにでも目を覚ますわ」


ほんとメンタルが強いな、朝比奈さんは。


自分の大切な妹が

ゾンビになって眠り続けているのに

冗談交じりに笑って

俺を励まそうとしてくれて。


見習って、俺も気を強く持たなきゃ!