その日の夕方、ゾンビ研究所に
朝比奈さんが駆けこんできた。
「私の大事な妹は
大丈夫なんでしょうね?」
泣きそうな顔で
俺の肩を両手でつかんでいる。
「純恋は眠り姫状態だよ。
ゾンビ姿でね」
「そんな……」
「今、研究所の処置室で見てもらってる。
誰も入ってはダメだって……」
処置室の外の長椅子に、腰を掛けた俺たち。
暗い表情でうつむく朝比奈さんに
俺は全てを話した。
俺が今日、1か月の眠りから目覚めたこと。
お父さんを許してあげてと
純恋に言われたこと。
父さんから預かった薬を飲んでと
純恋にお願いされたこと。
薬を飲まない俺を説得するため
純恋が薬を飲んで、
ゾンビとして眠ってしまったこと。