「純恋は、飲んじゃダメだ!」



「私ね、両親が亡くなって
 辛いこともたくさんあったけど
 狂くんの存在に救われて
 今まで生きてこられたんだよ。

 恩返ししなきゃ
 罰が当たっちゃうでしょ?

 狂くんがこの薬を飲んで
 人間に戻れたら、お祝いしようよ。

 二人でりんご飴を食べながら
 子供の時に神社で歌った曲を一緒に歌って。

 そしたら私
 狂くんとバイバイしてあげる。

 二度と狂くんの前に、現れないであげるよ」


「純恋……」
 

「飲むなって言われても、私は飲むから。
 狂くんもよく知ってるでしょ?」


「えっ?」


「私は子供の頃から
 人の言うことを聞かない、頑固者だってこと」




ニコっと笑った純恋。


俺が恋に落ちた小3の時の

エンジェルスマイルと重なって

俺の心が、罪悪感ではちきれそうになる。



違うんだ。


俺は純恋と、離れたいわけじゃないんだ。


純恋のことが大好きなだけ。


元カレの所なんて行かずに

俺のそばにいて欲しいだけ。