純恋は斜めがけバックから
小瓶を取り出した。
「この薬ね
お父さんが私に託してくれたの。
これを飲めば、狂くんは
ゾンビにならないと思うって」
と、嬉しそうに小瓶を振っている。
「あの人の作った薬なんて
俺は口にしない」
「でもこれで狂くんは
ゾンビじゃなくなるかもしれないよ。
普通の人間に戻れるよ、きっと」
「絶対に飲まない」
「狂くんの顔、緑色になってきてる。
今飲めば、ゾンビにならないかもしれないでしょ?
飲んでみて」
なんで純恋は
全力で拒絶する俺を無視して
薬をすすめてくるわけ?
そっか。
そういうことか。
純恋が好きなのは、アイドルの俺。
「醜い化け物の俺なんて
純恋は見たくないってことか」