脳に浮かび上がる

数えきれないほどの疑問。


純恋に「帰れ!」と

怒鳴ってしまった手前

聞いていいのか戸惑ってしまう。



その場で立ち尽くしていると

純恋が俺の脳をシャットダウンさせる

衝撃発言を口にした。



「狂くん。
 お父さんのことを
 許してあげてくれないかな?」


……えっ?


「お父さんって? 純恋の?」


俺、純恋のお父さんには

感謝しかないけど……



「違うよ」


「じゃあ、誰の?」


「狂くんのお父さんのことだよ」



俺の?


なんで純恋の口から

子供を捨てた最低な父親が、出てきた?



「俺が……父さんを……許す?」



そんなこと、無理に決まっている。


俺はずっと

父さんを憎み続けてきたんだ。


5歳で捨てられた、あの日から。