「新曲披露ライブだけは
見に行ってもいいかな?
狂くんがデザインした衣装を
生で見たいんだ。
そしたら狂くんファンも
ヴァンピファンもやめるから」
最後のお願いとばかりに
俺の服の袖を掴んだ純恋。
俺は嫌われる覚悟を決め
「触るな!」
純恋の手を思いきり振り払う。
純恋は傷ついたような顔で、俺を見つめ
「ごめんなさい……」
すぐに視線を床に落とした。
傷つく純恋を見れば見るほど
抱きしめたくてたまらなくなる。
愛し抜きたくて
恋心がうずきまくる。
でもそれは、俺の役目ではない。
大好きな元カレに、癒してもらいなよ。
俺は純恋を怒鳴りつける
最低な男を演じながら
君とバイバイするから。