「わかった……」と

悲しそうに床を見つめる純恋は


「私、狂くんに嫌われちゃったんだね」

涙交じりの声を震わせた。




二人の間に流れる、沈黙の時間。


聞こえてくるのは

純恋の鼻をすする音だけ。




苦しそうに唇をかみしめる

純恋を見ていると


暴れ狂っていた怒りの感情が

だんだん

罪悪感へと移り変わっていく。




思いもしなかったな。


一途に想い続けてきた純恋に

『大嫌い!』と

怒りをぶつける日が来るなんて。




小3から、純恋だけが

俺の心の(ともしび)だった。



自分はゾンビ。


普通の人間とは違う、醜い化け物。


受け止めきれない、残酷な現実の数かず。



メンタルがボロボロになるたびに


俺は脳に、純恋の無邪気な笑顔を写し

しのいできた。