突然、脳内に浮かび上がった

純恋の元カレの、勝ち誇った笑顔。


『いくらトップアイドルでも
 ゾンビのオマエなんて
 純恋は選ばねぇよ』


チャラ男の幻想が、俺のメンタルを

遠慮なくブッタ切ってくる。



嫉妬で狂いそうになった、次の瞬間


「狂……くん……?」


泣きそうな程か弱い声が

俺の鼓膜を揺らした。



廊下から顔を出した純恋。


驚いたように

目をカッと開いたまま

マネキンみたいに固まっている。



純恋が手にしていた俺用の入院服が

床にバサリと落ちた。


でも純恋は

それすら気づいていない。