お菓子を食べ終わった後、しばらくしてミヒカ姫は白い手をパンパンと叩く。すると、また襖が開いて美しい着物を着た人々が部屋に入って来た。

そして、どこからともなくゆったりとした不思議な音楽が鳴り響き、人々が踊り始める。美しい舞に藍が見惚れていると、ミヒカ姫に肩を軽く叩かれる。

「藍、私たちも踊りましょう」

「はい!」

ミヒカ姫に手を引かれ、藍も人々に混じって踊り始める。優雅な舞など見たことがないため、盆踊りになってしまう。だが、ミヒカ姫は楽しそうに笑っていた。

「その踊り、楽しそうでいいわね」

「盆踊りです!夏祭りにみんなで踊るんですよ!」

「こう踊るの?」

「はい、そうですよ!」

互いに笑い合い、踊り続ける。楽しい時間は刻一刻と過ぎていき、あっという間に終わりの時間は来てしまうのだ。

「ミヒカ姫、さようなら」

「気をつけて帰るのよ」

帰り際、手を振ってくれるミヒカ姫はいつも寂しそうな顔をする。藍は彼女に駆け寄り、その頭に手を伸ばす。ミヒカ姫の艶やかな髪に手が触れた。