「大丈夫ですよ。ミヒカ姫の寂しい気持ちがなくなるまで、ここにいます。またすぐに遊びに来ます。僕があなたの友達です！」

藍がそう力強く言いながらミヒカ姫の背中にそっと腕を回すと、先ほどまでの寂しげな雰囲気が嘘のようにミヒカ姫は「嬉しい！！」と言いながら抱き着いてくる。

「いつでも待っているわ、藍！！」

名前を教えた覚えはないけど、どうして知っているのだろう……。そんな疑問を覚えながらも、藍はミヒカ姫に釣られて笑った。



それから、藍は一人になりたいと思った際はこれまでのように湖に行くものの、しばらく一人の時間を堪能した後は、彼女の名前を呼ぶようになった。

「ミヒカ姫、来たよ」

すると湖が光り輝き、気が付けば藍は水の中に立っていた。目の前には水の中に豪華な屋敷が聳え立っており、まるでおとぎ話の竜宮城を訪れたような気分になる。

「藍、よく来てくれてわね！」

宝石が埋め込まれた門が開き、ミヒカ姫が笑顔で出迎えてくれる。彼女の後ろには大勢の使用人がおり、「ようこそおいでくださいました！」と頭を下げている。