「昨日から気になってたんだが」


春稀がポツリと言った。


「なんだ」

「『あの方』って誰だよ」

「……トップ5の更に上、No.0だ」

「No.0…」

「名前は、トップ5の奴らしか知らねぇから、俺らはあの方って呼ぶしかねぇんだ」

「キオナは知ってんのか」

「ああ」

「どんな奴なんだ」

「さぁな。俺は会った事ねぇから知らねぇ。ただ…」

「ただ?」

「『莫大な力を持ち、それは世界をも滅ぼす』」

「っ…」

「って、噂好きの奴が言ってた」

「なんだよ、それ」

「奴の情報は確かだ」

「その根拠は何処にある」

「今までの経験からだ」

「あてになるかよ」

「そういえば」


レオが話を切り替えた。


「手掛かりは俺の側にある、って、どういう意味だ?」

「…さあな」


春稀はキオナと逆の方に歩き出した。