「まぁまぁ、こんな所で…」
父親はダイニングの椅子に腰掛けた
まま、こっくりこっくり眠ってい
た。
そうか…
夕べ心配で眠れなかったんだな。
「このまま寝かせといてあげよう
よ。」
背もたれに掛かっていた膝掛けを
そっと父親の肩に乗せると、茂男
はそう言った。
「そうね。
お腹空いてない?
何か作りましょうか?」
母親の言葉に甘えて、朝食をとる
事にする。
スクランブルエッグの焼ける音と匂いが
、茂男を心地良い眠りに誘った。
いつの間にか茂男はテーブルに突っ
伏し、眠りの世界へと旅立って行
った。