「あ〜寒い寒い…」


両腕を組み、肩を竦めてとぼとぼ
と家路を歩く茂男。


「ほんと信じらんないぜ!
なんであいつはあんなに金に汚い
んだ…」


ボヤく茂男の懐には、現金20万円
とテレカが入った封筒が隠されてい
る。
さすがにあの紙袋を持って帰るの
はマズイだろう。



『しょうがないから5万円でいい
わ。
恋人特別価格よ。』


「恋人なら『お金なんていらない
わ!』って言うもんだろ!?
まったく金持ちのくせして…」


本人のいない所でなら、何とでも
言える肝っ玉の小ささ。
それでも別れられないのは、茂男
にSっ毛…もとい、Sっ気があっ
たとかなかったとか。


そうこうしてる間に、松嶋毛…い
や、松嶋家の玄関前まで来ていた