ようやく電話が繋がったのは、そ
れから約一時間後。
かける度にヘリウムガスを吸って気分
が悪くなっていた真紀子は、機嫌
も悪くなっていた。
「もしもし?松嶋さん?
一体どこに行ってたんですか!?
何度もかけてたのに…
え?買い物?
バカ息子が誘拐されたっていうの
に?」
母親は買い物に出掛けていたらし
い。
むしろ警察に駆け込んでくれてた
方が気分も良かった。
「じゃああなたは父親ですか?
最近ハゲてきたっていう?
待たせた罰として身代金の額を増
やします。
31万5千円。」
何故だか消費税分up。
「今日の深夜0時ちょうどに、三
角公園にある象の滑り台の下に金
を置いておけ。
変な真似しやがったら、バカ息子
の命はないぞ。わかったな?」
急に悪人らしい口振りになったの
はいいが、声が宇宙人なので、て
んで迫力がない。
上手くいくのかな…
心配になって真紀子を見たが、受
話器を押さえ小声で何やら囁いて
いる。
聞き取れる位置まで、そっと近付
いてみると――――