「あ、松嶋さんのお宅ですか?
―――え?ヘルスライフ・コーポレーション?
間違えました…ごめんなさい…」


気を取り直し、もう一度松嶋家の
番号を押した。


 プルルルル…プルルルル…


10回までコールを数えてみるも、一
向に出る気配もない。


「もしかして…
警察に行ったんじゃ…?」


怯える茂男を余所に、平然と構え
る真紀子。


「それならそれでいいじゃない。
何事も経験よ。」


「人事だと思って…」


「人じゃないでしょ?
ホモ事でしょ。」


こいつと結婚したら一生バカにさ
れ続けるんだろうな…


既に将来が見えてしまった茂男だ
った。