ララが申し訳なさそうにお辞儀をしてから部屋を出て行く。

カイルはサラの隣りに座り、肩を寄せ優しく抱きしめる。

「サラ、リューク殿はきっと満足していると思う。よくやったって褒めているかもしれないな。」
声を出して嗚咽し始めるサラの背中を優しく撫でる。

「リューク殿はきっと、永遠にサラの心の中に生き続けるだろう。時々思い出してあげる事も大切だ。
…俺にも共に戦場で戦って亡くなった友や部下達がいる。力加減が出来ず俺の刀で亡くなった敵も沢山いると思う…

彼らはずっと、俺の心に生き続ける…
…だからこそ亡くなった彼らに恥じぬよう、正しい道を歩いて行きたいと思っている。」

「…はい…きっと、カイル様に会えたのは……お兄様の、導きが、あったからだと…。」
ひっくひっくと泣きながらサラはポツポツ話し出す。

「そうだな。
俺もリューク殿には感謝をしなければいけない。出来れば会って話をしたかったな…。
お前にサラをやらんと言われたかもしれない…。」
苦笑いするカイルを見上げて、サラは少し落ち着気を取り直す。

「きっと、お兄様なら…カイル様を、気に入ってくれるはずです…。
ずっと…じゃじゃ馬を、飼い慣らしてくれる器の広い男がいないかと言っていましたから。」

涙目でそれでも、ふふっと笑うサラの涙をハンカチで拭きながらカイルが言う。

「飼い慣らす事は難しそうだが…追いかけて共に走る事は出来そうだ。」
そう言って笑うカイルにつられて、サラは泣き笑う。

「本当は誰の目にも触れさせず、傷つかないよう、大事に部屋に閉じ込めておきたいが、それでは本来のサラを失ってしまう…。

サラは好きな様に、好きな事をして自由に生きてくれればそれで良い。

俺はその都度、ありとあらゆるものに嫉妬しながら、サラをずっと守り続ける。」

「おモテるのはカイル様の方ですよ?」

「サラは…自覚が無いから厄介なんだ。」
はぁーと大袈裟にため息を付く。

「悪いが俺はサラ以外、他の女性は皆同じ顔にみえる。何の興味も湧かない。」
真顔でそう言い張るカイルが可笑しくて、

「それは、ちょっと酷いのでは?」
と、サラは思わず吹き出してしまう。
それもそうだと2人笑い合い、いつしか涙も止まっていた。