それから、
とんとん拍子で偽の婚約話しは進みボルテの体調が回復し歩けるようになった頃、サラマンドラ家三人は郊外にあるカイルの邸宅に身を寄せた。
そこはとても静かな場所で、元々は国王陛下が避暑地の別荘として建てたらしく、林に囲まれ、自然が豊かなた場所だった。
そこで1ヵ月、三人は思いがけず平和な日々を送っていた。
カイルは、週に1回邸宅に帰ってくるくらいで前にもまして会える日が減ってしまった。
サラは、晩餐会に向けての立ち振舞いやダンスの練習など、久しぶりに貴族の令嬢として、お稽古事で日々忙く過ごしていた。
カイルとの関係についてはボルテとルイには嘘をつきたく無いと思い、偽婚約者であると言う事を正直に話した。
最初、ルイは本物の婚約者になれるように努力するべきだと、サラにいろいろ言ってきたけれど最近では諦めたのか何も言わなくなっていった。
邸宅の暮らしはとても快適で、庭のバラの手入れや馬小屋のお手伝いなど、忙しいレッスンの間に楽しんでいる。
マリーお勧めの庭の薔薇園は今薔薇が咲き誇り、一番綺麗な時期だ。