もう笑ってもらえないかもしれない。
話してもらえないかもしれない。
前のように一緒に過ごすことはできないのかもしれない。

そう思い至ったら、声にならない息がもれた。
氷の溶けたアイスコーヒーを見つめながら。
“好き…”

ふらふらと足元がおぼつかない状態でレジへ向かう。
店員に訝しげな視線を送られながらカフェ代を精算して、家に帰った。
正直なところ、どうやって家にたどり着いたのか覚えていないぐらいだ。
手を洗ってうがいをして、部屋着に着替えたら少し冷静になれた。
ベッドに置かれたシャチのぬいぐるみを見つめたあと、震える手でスマホを動かした。
一文字一文字に気持ちを込めて。