「よければ、私も一緒に行かせてくれませんか?」

懇願するように見つめられ、碧は「もちろんです」とすぐに返す。母や村人を救ってくれた恩人を邪険になどできるわけがない。むしろみんな、精一杯おもてなしをして楽しんでもらいたいと思っている。

「ありがとう」

そう呟いたスクナビコの顔は、頬を赤く染めてニヤリと笑う。まるで、自分の筋書き通りに物語が進んでいるかのように満足げだった。



村をあげての盛大な宴が開かれたから、早三ヶ月と少し。スクナビコは神社には帰らずに碧の家にずっと住んでいる。

「スクナビコ様〜!怪我をしてしまって……」

「はい。では、この薬を塗りましょうか」

碧の家には怪我をしたり、病気にかかってしまった人が訪れるようになった。彼は碧と母の体調管理もしてくれている。

「碧、風邪気味ですか?」

「そうですね。昨夜から咳が少し出てしまって……」

「ならこちらを食後に飲んでください」

「ありがとうございます、スクナビコ様!」