優しい言葉に、また碧は泣いてしまいそうになる。慌てて目を乱暴に擦ろうとすると、「こら」と止められた。

「目を擦ると腫れてしまいますよ。これで冷やしなさい」

どこからかスクナビコは冷えた布を取り出し、碧に差し出す。碧は「ありがとうございます」と言い、また涙が零れ落ちてしまいそうな目元に当てた。泣いて真っ赤になった目を冷たさが優しく包み込み、心までも落ち着かせてくれる。

「スクナビコ様、ぜひ宴に参加してください!」

村人たちが声をかけ、スクナビコは「ええ。楽しみです」と微笑む。すぐに猟師たちは宴に使う料理のために山へと向かい、残った村人たちで畑の収穫を行うことになった。

「お母さん、あたしも収穫手伝うよ」

「碧、ありがとう。でも畑にずっと行けていなかったから、ちゃんと野菜ができているか心配ね」

母がベッドから降り、碧も立ち上がろうとする。すると、碧の肩にスクナビコがピョンと飛び移った。