碧の瞳から涙が溢れ、頰を伝っていく。心の奥底では、いつ母を失ってしまうかと恐怖があった。碧は母に抱き着き、しゃくり上げながら泣いてしまう。

「うえ〜……ひっひっ……お母さん……お母さん……!」

「大丈夫。お母さんはどこにも行ったりしないわ。スクナビコ様が治してくださったんだから」

碧が顔を上げると、母の目にも涙が浮かんでいた。碧はまだ涙を溢す中、優しい目でこちらを見守ってくれているスクナビコを見つめる。涙のせいで視界がぼやけていた。

「スクナビコ様、母を助けてくださりありがとうございます!!」

「私は医薬の神として当然のことをしただけです。だから、笑顔を見せてくれませんか?」

スクナビコの指が碧の大粒の涙に触れる。小さな指が一瞬にして大雨に打たれたかのように濡れ、碧は申し訳なさを感じた。だが、スクナビコは穏やかな顔をしている。

「あなたには、涙よりも笑顔が似合いますよ」

「スクナビコ様……」