「全員を一箇所に集めた方が治療しやすいので」

スクナビコはそう言った後、碧の肩から飛び降りる。そして、小さなかばんの中から緑色の薬草を取り出す。

「碧、薬草をすり潰してくれませんか?これを患者(クランケ)に飲ませたいので」

「はい、わかりました!」

医薬の神・スクナビコによる治療が幕を開けた。



スクナビコによる治療は、数時間もしないうちに終わった。碧がすり潰した薬草を飲ませると、それまでどんな医者も治せなかった患者たちの容体が回復していったのだ。これには、村人たちも驚くも家族が元気になったことに喜んでいた。

「すごい!名医でも治せなかったのに……!」

「宴を開こう!」

「スクナビコ様、父ちゃんを治してくれてありがとう!」

苦しんでいた碧の母も、スクナビコの薬草によって元気を取り戻した。碧は母に駆け寄り、その頬に手を伸ばす。

「お母さん、もう大丈夫?」

「ええ。もうこの通り元気よ」