俯きがちに言ったスクナビコの言葉に、碧の頭は真っ白になる。まるで家族のように一緒に家で暮らしてきた人がいなくなってしまう。悲しみが心の中に生まれていった。

「突然すみません。本来、神は人と深く交わることはいけないことなのです。ですが、どうしてもここにいたいと思ってしまったんです。……私の身に起きている症状が何かを突き止めるために」

「えっ、スクナビコ様はどこかお体の具合が悪いのですか?」

神と呼ばれる存在であっても病気になるのか、そう碧が驚いているとスクナビコが顔を上げる。彼の頬は赤く染まり、目には熱が籠っていた。

「胸が苦しんですよ。あなたを見ていると。考えて、考えて、考えて、そして気付いたんです。この気持ちに。私はあなたに恋をしているんです。この病の治療薬があるとするならば、それはあなた自身なんです」

「えっ、恋!?」

碧が驚いていると、スクナビコの体が白い光に包まれる。そして光が消えた時、碧の指と大きさが変わらなかった彼は、碧よりも大きくなっていた。