「恥ずかしい……ごめんね。俺、倉掛さんを助けようと思ってここに来たのに」
「え、そうなの?」
「うん。だって、絶対一人じゃ大変だって。この広さ」
「確かに……」
いくらうみ先生が後で合流するといっても、あまりに広いプールだ。100メートルある。
「一日じゃ無理かもしれないけど、一緒にがんばればなんとかなるよ。プールに水を入れようとしてたんでしょ?」
「そ、そうなの!でも入れ方が分からなくて……」
「こっちだよ。来て」
すくっと立って歩き出すトキくん。もういつものトキくん……なんだけど、さっき握られた大きな手の感触が忘れられなくて……。
「と、トキくん!」
私は咄嗟に、その大きな手を、また握ってしまった。