「た、タオル……返して、ください……」
頭から湯気が出そうな私を見て笑ったトキくん。
私の頭にぽトンとタオルを置いて、ワシャワシャと髪から顔から首から……順番に拭いてくれる。
「じ、自分でするからいいよ、汚いよっ」
「いい。させて。ホラ、首とかどこに汗がついてるか分からないかと思って」
「~んッ」
髪を括っているから、うなじが丸見えで……。そこにいきなりタオルで拭かれたら、ビックリしちゃって変な声が出てしまった。
「ご、ごめん!今のは、」と振り向くと、なぜかトキくんが赤くなっている。
「……ごめん。意地悪、しすぎた。まさかブーメランになって返ってくるとは思わなかった」
「ぶ、ブーメラン……?」
「いや、その……反省、しています」
「(急にしおらしくなった。かわいい……)」
トキくんのなまめかしい雰囲気は、風船の空気が抜けたようにいなくなって……。そしてトキくん自身も、力が抜けたようにその場に座った。