「(惹かれるって……友達として、ってこと?いや、それでも充分恐れ多いんだけど……!)」



上手い返し方が分からない。友達として返せばいいんだよね?

それとも……?

ねぇトキくん。トキくんは、どういう意味を込めて言ってくれたの?



「(……よし)」



いっそ聞いてしまおう――そう思った時だった。



「ねえ、倉掛さん」

「は、はい!」



トキくんの瞳とぶつかる。ドキドキする私とは反対に、トキくんは少し余裕そうな笑みに見える。

そして「手を出して」と言いながら、トキくんはまず自分の手を私に伸ばす。



「手?手をどうするの?」

「ん、こうするんだよ」



ギュッ



「(に、握ったー!?)」



前触れもなく、私の手はトキくんの手に包み込まれる。私の心臓は手にあるのかってくらい、手の血管がズクズクと唸っているのが分かる。

こ、こんな脈を悟られるのは、恥ずかし過ぎるのですが……っ。