「え――」


真横から声がする?

見ると、フェンス越しで私をみているトキくんがいた。



「トキくん!?」

「うん。掃除は大丈夫?」

「な、なんとか……?」



明らかにバレるウソを言った私を、トキくんは笑いながら見透かした。

そして「ちょっと離れて」とフェンスをガシャガシャと登り始めた。



「え!ちょ、トキくん!危ない!」



だけど心配する私をよそに、トキくんは軽い身のこなしで高さのあったフェンスを軽々と乗り越えた。

そして、まるで翼でも生えているかのように、綺麗な着地をして見せる。



「か、鍵……空いてるよ?入口の……」

「うん。でもこっちの方が早い」



しれっと言ってのけるトキくんに、笑いがこみあげる。



「ふふ、そうだねっ」



トキくんって、物静かな感じがするけど、こういう大胆なこともするんだ。

なんか、ギャップがスゴイ……っ。