「あら〜困ったわねぇ」
入学式の日以来の静寂ぶりに、うみ先生も困ったように頬に手を当てていた。
「(うーん、もしも、しずかちゃんとか大橋くんが掃除当番に当たったら、どうしよう……。
トキくんだって、毎日助っ人で忙しいのに……掃除してる暇なんて、ないよね?)」
かくいう私も、俯いていた一人……。
だけど、帰って何もする事がない私と、部活もちの皆とでは、忙しさがまるで違う。
大事な部活を休むって……嫌だよね?
隣の大橋くんをチラリと見る。すると俯いた者同士、バチッと目があった。
「(今動くと当てられるよ!ステイ!)」
「(ス、ステイ……!?)」
「(いーから!シーッ!)」
小声で注意してくれた大橋くん。
すると、その声にこそ、うみ先生が反応してしまった。
「じゃあ大橋くんに頼もうかしら!男の子だし力もあるし、筋トレになると思うのよねぇ」
「げ!?」
大橋君と決まった瞬間、皆が「よかったー」と言いながら顔を上げた。しずかちゃんも「ラッキー」と手を叩いて喜んでいる。
でも、私は……。