「ただいま〜…あれ…?」

家に帰ってくると、母親がいなかった。いつもなら、家に居るはずの時間だ。

「…まさか…」

台所に駆け込むと、一枚のメモが置かれていた。

『帰ったらすぐに病院へ。母』

「お姉…っ!」

着替えるのも忘れ、家を飛び出すと、陣と鉢合わせになった。珍しく、ヘンリと一緒ではなかった。

「美奈?」

「陣…」

陣の見ている前で、美奈は泣き出してしまう。いきなり泣かれた陣は、かなり挙動不審になっていた。

「なな、何だよ?美奈、何かあったのか?」

「お姉が…お姉が…っ…」

「ルナさんが?」